《大.落》♥ やらかしちまって!〜眠り姫★


「それで、一子ちゃんもいい感じになってくれて〜オシャレなレストランで〜」


「歩、もういい。お前が、さぞかし楽しいデートをしたのはわかったから」
秀馬は、掌を虫を払うみたいに左右に振った。

「え、まだ途中なのになぁ」

「もう、十分だから。口を食べる方にも動かせ。両方出来ないのか?」
全然、減っていない冷麺を顎で示した。


「わかりましたよ。でも、秀馬さんだって全然減ってないじゃないっすか」

歩に言われて、サムゲタンの器に視線を移した。


ーーー確かに減ってない。腹は、結構空いていたはずだが……何故か途中から食べる気にならなくなったんだ。


食べていないと認めたくないが故に
「バカ言え。これは、二杯目だ」
平然と言ってしまう秀馬。


「えっ! マジで。いつの間に注文してたんすか? っていうか、全く二杯目だって俺、目の前にいて全く、気がついて無いんですけど…」
本当に驚いて目をぱちくりさせる歩。


そんな歩をため息まじりに見つめる。
「あたり前だろ。嘘だからな。まだ、一杯目だ。こんなわかりやすい嘘に引っかかるな」


ーーー全くこいつは、子供騙しにすぐ引っかかりやがる。


「マジでどうしよう俺。今日、完璧に頭が回ってないっすよ」

「いつもだろ」

「恋のせいかなぁ」


「なに?」

「きっとそうっすよ。いつもなら秀馬さんのジョークだか嘘だかわかんない言葉に余裕で突っ込めるのに。今日は、ジョークに気がついてさえ無いんすから」

ーーー恋……そうやってなんでも恋のせいに出来るほど、恋は厄介なものだったか?

急いで冷麺をすする歩を見て、秀馬は首をひねっていた。

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