少しずつ、見えるミライ
「朝陽は、その後、順調?」

「もちろん。申し訳ないけど、超ラブラブです。」

「いいなぁ。少しでいいから、その幸せ、分けてよ。」

「あ、でも、この前、ちょっと嫌なことがあって、実は今も、心配で心配でたまんないんですよね。」

「何? どうした?」

「彼女の元ダンナが、なぜかデパ地下に現れたんですよ。二年も放っておいたくせに。」

「なんで?」

「わかんないです。今のところ、うまい具合に二アミス続きで、彼女と奴は直接会ってないんで。」

「ってことは、朝陽は会ったの?」

「はい。しかも、彼女と会わせたくないって強く思い過ぎて、無意識のうちに嘘ついて、追い帰しちゃってたっていう。」

「あはは.....マジ?」

「もう最悪ですよね。嫉妬の塊か、って。」

「可愛いねぇ、朝陽。ホントに彼女のこと、好きなんだね。」

「そうみたいですね。」



リリアさんは、小さい子にするみたいに、「よしよし」っていう感じで、俺の頭を撫でた。

いつものことだけど、この人が相手だと、俺もついつい本音を話してしまう。



リリアさんは、下っ端ダンサーの俺の話をバカにしないでちゃんと聞いてくれるし、心配してくれる。

それどころか、まるで自分のことみたいに、喜んだり、悲しんだりしてくれるからかもしれない。

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