少しずつ、見えるミライ
「俺に、望みはあるのかな。」

「ごめん.......。今は、わからない。」



別れ際、修ちゃんが投げかけた質問に、素直な気持ちを口にした。

わからないけど、多分、ゼロパーセントの確率ではないと思うから。



でも、二人を比べるなんて、できないよ.......

全然タイプも違うし、愛し方も違う。

どちらを選べば幸せになれるかなんて、今の時点でわかる訳がない。



今日は、朝陽が帰って来る日だ。

三日間、頑張って、帰って来るんだから、温かく迎えてあげなくちゃ。



修ちゃんと別れてから、急ぎ足で帰った。

部屋の鍵を開けて、私がいなかったら、朝陽はきっと心配してしまうだろう。

修ちゃんが訪ねて来たことを、私に隠していたくらいなんだもん。



今日、修ちゃんと私が会っていることだって、悪代官か小姑に探りを入れれば、すぐに白状することだ。

まさかプロポーズされているとは思わないだろうけど、会っていること自体は知っているに違いない。



きっと気になって気になって、仕方がないはずだ。

だけど、私にその話題を振って来たりもしないだろう。



だから、私が朝陽にしてあげられることは一つだけ。

抱きしめて、安心させてあげること。

愛してるって、伝えてあげること。

今は何よりも、そうして気持ちを通い合わせることが大事なんじゃないかと思う。
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