タマシイノカケラ


「よッ」




「──カオリ…」

花柄のワンピースの上にジップアップの薄手のジーンズジャケットを羽織っている。

強めの風に乗って、たぶん、ユージンの香りがした。

一瞬、香りのせいなのか、カオリのせいなのか、胸が締め付けられた。

デートに行く時の様に、女の子らしくカオリは微笑みながら私を見ている。


「なんて顔してんのよ」

笑みを浮かべたまま、カオリは私の横を通り過ぎ、ズカズカと部屋の中へ入っていく。


戸惑いながらも扉を閉め、カオリの後を追う。

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