タマシイノカケラ
腰に手を当て、ぐるりと部屋を見渡す。

十分に視線を泳がせてから、私に辿り着く。

真剣な視線。
鋭く尖った輝きが、私を射抜く。

硬直している私は、見合う事に耐えきれず、カオリではなく床を見つめた。

視界に、爪先が見える。

素足に、グリーンを基調としたペディキュアが眩しい。

視線が重く、逃げ出したくなる。



でも、逃げ場の無い私は、どこへ行けばいいの……?




「ねぇ」

しばらくの沈黙の後、上から声が降ってくる。

反射的に、体がビクリとした。



昔、母親から大切な物だから触らないでと言われていたアンティークドールに好奇心が先立ち抱え、予想外の重さに耐えきれず、落として壊してしまった時をふと思い出した。

あれだけ念を押され、触るなと言われていたのに。

目の前には、片腕が綺麗にちぎれた人形が悲しい蒼い目を浮かべている。

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