むとうさん
「ふふっ。彼あんな感じでいつも1人で飲みに来るんですよ。きっちり毎日じゃないけど。」

「えー!気に入ってるんですね、きっと。」

「そうだといいけど。」

「絶対そうです!だってこんなにお酒が美味しくて居心地よくて素敵なバーテンダーさんがいたら当たり前です!」
私はやや興奮ぎみに言ってしまった。

「はははっ。そんな風に褒められること中々ないですよ。ありがとう。がんばります。あ、僕柏木っていいます。」

柏木さんは貝細工の名刺ケースからすっと名刺を取り出してテーブルへ出した。
私も1番よく配る簡単な名刺を渡す。

「鈴木さん…へえ、自動車の設計してるんですか?」
そんなこんなで談笑してると奥からムトウさんが帰ってきた。

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