むとうさん
ドキドキしながら助手席のシートベルトを締める。Sクラスはさすが内装が高級だ。車に対する興味とむとうさんへの緊張感で少し硬直する。

「いかにもって感じだろ?」

「あの…買ってくださったといううちの会社の車と比べると…趣味が違いますね。しかも今日はフォーマルなスーツなんですね。」

「おう。事務所に来客があるからな。」
昔気質だからうるさいんだよこういう見た目にしてないとよぉ。

短髪の髪も少し束感をだしてる。立場が上の人と 事務所 で会うんだろう。

むとうさんは隠すわけでも積極的に言うわけでもない。

でもさっきからの状況をまとめると、彼は多分いわゆるヤクザだ。

まさかね、という気持ちと、納得という気持ちが入り混じる。

というか、むとうさんはヤクザでした。と言われてもふーん確かにいかつくてお金持ってそうだもんね。って納得はするけどだからどうなの?って感じで。

中身がピンとこないというか、へーっていう風にしか思えなかった。
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