しろっぷ
 お願い『しろっぷ』。
 この哀れで可愛い私に救いの手を。

 車中、目的地までお経を唱えるかのようにブツブツと何度も祈り、タクシーの運転手はゆかりの気迫に飲まれたのか、緊張しながら車を走らせた。
 それからタクシーは何故か何度も信号に引っかかたり、普段混まない場所で渋滞が発生したり、車の調子がおかしくなったり。
 ゆかりに不安を覚えたタクシーの運転手はとにかく早く降ろさないと、法定速度ギリギリまでスピードを上げ、急いで『しろっぷ』に向かうのであった。


 見えない恐怖と戦っていたタクシーの運転手が運転していたタクシーは、無事に目的地に到着。
 ゆかりがタクシーを降りた瞬間、お代をもらうことなくタクシーは逃げるようにどこかへ。
 普通なら疑問に思うのだが、ゆかりは貴人の件をどうにかすることに頭がいっぱいだった。
 本当に本当にお願い・・・。
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