歩道橋で会おうね。







羽菜さんと女性――おそらくお母さんが睨み合う。



どういうことだ?

この女性と羽菜さんは、血が繋がっていない。

女性は銀の実の母親。

それなのに、銀より羽菜さんを大切にしているように見える。



複雑なのかもしれない。

銀が銀と呼ばれる理由も、羽菜さんの名字が水川なのも。

家庭環境…もしかして悪いのか?



「…良いわ、じゃあね羽菜」



女性は鼻で笑うと、羽菜さんを置いてさっさと出口へ向かう。

実の息子であるはずの銀を見舞いもせずに…。





「ごめんなさい、変なものを見せてしまって」

「いえ…構いません」

「羽菜さん、もしかしてハルキくんとは…」



アユの銀と言う呼び方が、ハルキくんになる。

アユは人一倍同情しやすいからな。

今の光景に、どこか同情したのかもしれない。




「ええ。
血が繋がっていません。
義理の姉弟です」




やっぱりか…。








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