たった一人の甘々王子さま
「私も、まさか此処まで優樹の手伝いをするとは思わなかったわ。でもね、優樹だから手伝うのかも。何度も裸の付き合いしたものね」
「エミ......ありがとう」
優樹の目にうっすら涙が......
「優樹、そんな姿で泣くと変よ。早くドレス着ましょうよ」
エミの目にも涙が......
そのエミの目に映ったのは、優樹の左胸に咲く小さな赤い花。
「......浩司さん、何処に付けたら見えないのか、ちゃんと解ってるのね。流石だわ......」
「ん?何かいった?」
優樹は一応背を向けて下着を着ける。
顔だけエミの方に向けている。
「浩司さんの独占欲、見せて貰ったわって言ったのよ。はい、下着付けたらドレス着てね。後ろのチャックは手伝ってあげるわ」
エミの言葉に優樹の顔は赤くなる。
「此処の、バレた?」
そっと左胸の浩司の痕が付けられた辺りを指差した。
「バッチリ見えました。ご馳走さまです」
「エミだって幾つか付いてるくせに。俊の独占欲の痕が」
優樹も負けじと張ったりを噛ます。
が、エミにとっては本当だったらしく頬が赤くなった。
「ほら、早くドレス着てよ!時間なくなっちゃうよ?」
誤魔化すように優樹をけしかける。
袖を通して、背中のチャックを絞めた。
「はい、今度はメイク。こっちよ、スタッフさんが待ってるわ」
優樹の手を引き、メイクスペースへ移動する。
椅子に座らせた優樹と鏡を通して視線を合わせる。
「優樹、おめでとう。浩司さんと幸せになるのよ。私も、いつか俊樹くんと優樹に負けないような式を挙げて、たっくさん祝ってもらうからね」
「エミ......ありがとう」
「ほら、やっぱり泣いた。メイクの前でよかったわ」
「エミだって泣いてるじゃん」
「私はいいのよ。直ぐにメイク直しができるもの」
そう言って笑顔を見せた。
『私の出番は此処までね。俊樹くんと待ってるわね!』
と、更衣室を出ていった。
「エミ、ありがとう」
去っていくエミの後ろ姿にもう一度お礼の言葉を伝えた優樹だった。
「さて、新婦様。さらに綺麗になりますよ!メイク始めます」
と、スタッフの手によって、更に変身していく優樹だった。
「新郎様にも驚いて貰いましょうね。また、惚れてしまうかも......なんてね。」
冗談も通じるスタッフはありがたい。
小さな緊張のか溜まりがほぐれていくようだ。
「そうですね。惚れてもらえるように、キラキラメイクを宜しくお願いします」