たった一人の甘々王子さま


教会の扉の前。
優樹は父と二人、時を待つ。
浩司は先に中へと入っていった。


「父さん」


改まって何かを伝えようと隣に立つ父親に声をかける。


「どうした?緊張してるのか?」


自分の緊張を棚に挙げて父親は優樹をからかう。


「それは父さんもだろう?美樹ちゃんにカッコいいところ見せるんだろう?頑張らないと」


「相変わらずだな、その口調も。」


「こんな自分でも良いって浩司は言ってますぅ。ご心配なさらず」


こんなときでも憎まれ口を叩く優樹。
もう結婚式は始まっているというのに......


一呼吸ついて、優樹は静かに語り出す。


「父さん。浩司に会わせてくれてありがとうね。............今以上に幸せになるよ。父さんたちよりもね」


「優樹......」


扉の中では音楽が鳴り響く。
優樹たちの出番はもうすぐ。


「さぁ父さん、行くよ。皆が待ってる」


「優樹には浩司くんだろう?」


「当たり前!」


スタッフの手によって大きなドアが開けられた。
祭壇横で待っている浩司へ繋がる道が明らかに。


父親と一歩一歩前へ進んでいく。
ドレスの裾を踏みつけないように気を付けて歩く。
ゆっくり歩いていても、浩司のところまであっという間に到着。
父親から浩司へとバトンタッチ。


優樹の右腕は浩司の左側の腕に手を添える。
神父様からお決まりの誓いの言葉を受ける。
もちろん、答える言葉は


「「誓います!」」


誓いのキスはやっぱり緊張。
みんなの前でキスするなんてやっぱり恥ずかしい。
あとから俊樹に言われて頬を染めた優樹。


『10秒ってながーい誓いのキスだったな!』


『いちいち数えてんなよ!』


指輪の交換は、浩司も緊張してて上下逆に嵌めてくれた。
気がついたのは式が終わって披露宴の準備をしているとき。


『何で間違えるの?デザインでわかるもんじゃないの?浩司のバカ!』


『そんなのわかんないよ。俺だって緊張するって......まぁ、記念に残ったよね?』


『子供が出来たら絶対に教えてやる......』


『ちょっと!優樹は愛する旦那のミスを言いふらすの?』


『浩司次第です』


『優樹......』


俊樹とエミが止めなければいつまで続いたのかわからない.........

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