たった一人の甘々王子さま
出張明けだったが、今日は休みをもらっていたので優樹とデート気分だ。
平日なので、休日に比べると客入りも少ないから、妊婦の優樹にとっては良かったかも。
優樹は背も高くて、お腹も出ているから足元は見にくいようだ。
腰にも負担がかかって、スポーツをしていた優樹でさえ腰痛が出てきた。
二人もお腹にいるのだから仕方がないのだろう。
腰を擦る優樹を見ると何もできないのが悔しくなる。
「浩司......買い物やめる。調子にのって歩きすぎたから、ちょっと痛いかも。休憩させて?」
妊婦になっても、優樹は相変わらず可愛くて......いや、少しずつ、母親らしいの顔つきにもなってきた感じもする。
お腹を擦りながら語る姿はなんとも言えない。
「そうだね。もう少し先にフードコートがあるからそこまで歩ける?」
「ん、わかった。歩くけど、ゆっくりで良い?」
「良いよ。もしかしてお腹、張ってきた?」
優樹の下腹に手を当ててみる。腹帯をしているからはっきりとは分からないが、そんな感じがしなくもない。
「今日の検診で先生に内診してもらったでしょ?あれが刺激になったかな~いつもの痛さよりもう少し痛いかも」
「チビ達、動いてる?」
「ん~そう言われれば......今日は動いてないかも」
ゆっくりした足取りでフードコートへ向かう。ときたま痛みが強くなるのか辛そうな表情に変わる。
「優樹、今日は帰ろう。明日は俺も仕事だし、昼間は優樹一人だろう?お義母さん呼ぼうか?」
「......美樹ちゃんの予定が空いていれば、お願いしよっかなぁ」
「よし。じゃあ、まずはここに腰かけて。」
ちょうどフードコートまで来れたので近場のテーブル席に場所を取り優樹を座らせた。
「電話するね?」
と、スマホをかざして優樹に声をかける。
電話帳を開いてボタンを押す。
数コールしたらすぐに出てくれた。
「お義母さん、こんにちは。浩司です」
『あら?浩司さん、こんにちは。出張、お疲れ様でしたね。で、どうされたの?』
「今日は定期検診だったのですが、そのあとショッピングセーターに来ました。買い物をしている最中に優樹のお腹が張ってきた様で......もしものことがあっても困るので、お義母さんの予定が空いていたら明日、こちらに来ていただけますか?」
『まぁ、優樹ちゃん調子にのってはしゃいだんでしょう?』
「......よくご存じで」
『一応、母ですからね。そうね、時間は空いてるからいいんだけど、心配だから今から準備して行くわね。鍵預かってるし、マンションで待ってるわ』
「ありがとうございます。宜しくお願いします」
電話を終えるとソファータイプの椅子に座らせた優樹が横たわっていた。
慌てて傍に寄りしゃがみこんで優樹の顔色を伺う。
「あ、浩司ごめん。座るより横になった方が楽だったから......」
俺に気遣って優樹は起き上がろうとする。
「優樹、無理しないの。暫く横になってていいから。動けそうなら駐車場まで頑張って歩こうか」
「なら、今歩く。我慢できなくはないもん。陣痛はもっと痛いんでしょ?これくらいは月1の痛みの酷いときくらいだろうしさ」
優樹が笑顔を作ってくれるのは嬉しいのだが、辛い思いを背負わせて申し訳ない気持ちになる。