白い海を辿って。

『なぁこれ本当に大丈夫?できる?』


お揃いのエプロンを着けてキッチンに並び、彼は不安そうに自分の手元を見ている。

今晩のメニューはグラタンとポテトサラダ、野菜たっぷりのスープ。

食後にケーキがあるから、食事の量は少なめで。

彼は今初めてのホワイトソース作りに挑戦している。



『だってこれただのかたまりじゃん。小麦粉がバターで完全に固まってるんだけど。』

「それを牛乳でのばすの。入れるからゆっくりかき混ぜてね。」

『え、え?すごいすごい!トロトロになってくー!』

「ねぇ笑わせないで!こぼれちゃうよ!」


彼の反応に大笑いしながら、2人でご飯を作っていく。


幸せだなぁと、しみじみと感じていた。

こんな日々が私にもくるなんて、あの頃は想像もしていなかった。



『グラタンって家で作れるんだな。なんか感激したわ。』

「ホワイトソースって意外と簡単なんだよ。」


できあがった料理を机に並べ、向かい合って座る。

2人分の食器は、以前一緒に買いに行った。



< 162 / 372 >

この作品をシェア

pagetop