白い海を辿って。
『なぁこれ本当に大丈夫?できる?』
お揃いのエプロンを着けてキッチンに並び、彼は不安そうに自分の手元を見ている。
今晩のメニューはグラタンとポテトサラダ、野菜たっぷりのスープ。
食後にケーキがあるから、食事の量は少なめで。
彼は今初めてのホワイトソース作りに挑戦している。
『だってこれただのかたまりじゃん。小麦粉がバターで完全に固まってるんだけど。』
「それを牛乳でのばすの。入れるからゆっくりかき混ぜてね。」
『え、え?すごいすごい!トロトロになってくー!』
「ねぇ笑わせないで!こぼれちゃうよ!」
彼の反応に大笑いしながら、2人でご飯を作っていく。
幸せだなぁと、しみじみと感じていた。
こんな日々が私にもくるなんて、あの頃は想像もしていなかった。
『グラタンって家で作れるんだな。なんか感激したわ。』
「ホワイトソースって意外と簡単なんだよ。」
できあがった料理を机に並べ、向かい合って座る。
2人分の食器は、以前一緒に買いに行った。