白い海を辿って。
『ふざけんなって思ったよ。何が忘れられないだ。ふざけんな…。』
「はるくん。」
悔しそうに顔を歪める彼の手を、今度は私が上から握りしめる。
私の代わりにあの人に怒りをぶつけ、話してきてくれた彼の想いが、痛いくらい胸に刺さる。
『でも…悔しいけど、あいつの後悔も反省も俺には伝わってきたんだ。』
「本当に…?」
『あぁ…絶対許せないけど、謝りたいって気持ちは本物だった。』
彼が言うなら、彼が見てきてくれたのなら、私はそれを信じたい。
だけど。
『明日実に謝りたいけど、自分はもう近付くことができない。だから明日実と一緒にいる俺を見たとき、どうしても明日実が幸せでいるか知りたかったって。』
その言葉を信じたい自分と、その気持ちすらも怖いと思ってしまう自分がいる。
知りたいなら、何も彼の職場を探してまで会いに行かなくても良かったのに。
後をつけて、職場を探し当てて、いくら反省してたってやってることはあの頃と変わっていない。