白い海を辿って。
『こんなときにずっと傍にいてやれなくて、明日実も不安だと思う。けど、俺はそれ以上に明日実がまた何かされたらと思うと不安なんだ。』
私の身体が微かに震えていることに気付いた彼が、そっと抱き寄せてくれる。
ずっと、この腕の中にいたかった。
ずっと、一緒にいたかった。
「私だって…はるくんが何かされないか不安だよ。今危ないのは私よりはるくんだから、ずっと一緒にいたい。」
『それはできない。俺はひとりでも大丈夫だし、しばらく様子を見て何も起きなければまた元に戻れる。』
「でも…」
本当に納得して帰っただろうか。
彼の職場まで知られてしまった以上、この家だって…。
警察の目がどこまで届いているのかも分からないし、何か起きてからじゃないと動いてくれない。
だとしたら、今彼の傍で彼を守れるのは私しかいない。
「私がはるくんを守りたい。2人でいるところを見られても、私がいればあの人の矛先は私に向くはずなの。だから」
『明日実!』
思いがけず大きな声で遮られ、彼が私の身体を離す。