毒舌紳士に攻略されて
「ちょっとみっちゃん?」

お母さんは突然笑い出したお父さんの肩を揺らすものの、お父さんは笑ったまま言った。

「さすがは俺の息子だ。よく言った!そうだよな。好きになった女なら先手必勝!なにがなんでもモノにしろ」

「親父……」

えぇっ!?

まさかの息子肯定に驚くだけしかできない。

するとお父さんは笑顔のまま私を見つめてきた。

「そういうわけだからめぐみちゃん、悪いけど元気に口説かれてやってね」

「……えっと……」

なにこれ。どう返せばいいの?
そもそも「口説かれてやってね」なんて言われて、「喜んで」なんて言えないし。

坂井君に肩を抱かれたまま言葉に詰まっていると、すかさずお母さんが助け舟を出してくれた。

「ちょっとみっちゃん!元気も!めぐみちゃんが困っているじゃない」

あぁ、さすがはお母さん。
会ってまだ数時間しか経っていないけれど、この中では私の味方はお母さんだけだ。

「でも個人的には、私も元気とめぐみちゃんが結婚してくれたら嬉しいわ」

救世主のように崇めていたというのに、やっぱりお母さんは坂井君のお母さんだった。
笑顔でにっこり微笑まれては、いよいよ返す言葉が見つからない。

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