毒舌紳士に攻略されて
だけどそれはたった一瞬だけだった。だって――……。

「佐藤にプレッシャーを与えていいのは、俺だけだし」

一瞬でキュンを奪われてしまった。いや、その前についさっきの私のキュンを返して欲しいとさせ思ってしまう。
坂井君はやっぱり坂井君なんだ。

その後の時間、私はただ引きつる笑顔を顔面に張り付けてやり過ごすのに徹していた。



「それじゃ佐藤のこと送ってくるから」

「お邪魔しました」

玄関先まで見送りに出てきてくれたお父さんとお母さんに頭を下げる。

「めぐみちゃん、元気のこと抜きにしてまた遊びに来てね。私、めぐみちゃんとはすごく気が合うと思うの」

顔を上げれば、お母さんは嬉しそうに微笑んでいた。

坂井君は苦手だ。
いまだってやっと家に帰れる!と思っているほど息苦しかった。
でも、お母さんとは同意見だ。私も気が合うような気がしてならない。

「はい、是非またお邪魔させて下さい」

坂井君を抜きにして。というならこれが素直な気持ちだ。
お母さんとは気が合いそうだし、お父さんも素敵な人だし。


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