毒舌紳士に攻略されて
「これ、よろしくね」

「はい」

そして放課後の図書委員の仕事が、楽しみで仕方なかった。
毎週彼意外の人が図書室を訪れることはなくて、放課後の図書室は彼とふたりっきりで会える特別な場所だった。

いつの日か彼は、私が当番の日しか図書室を利用しなくなり、毎回一週間分の沢山の本を借りていくようになった。
たったそれだけのことで、私には嬉しくて堪らなかった。
もしかしたら彼も、私に会えるのを楽しみにしてくれているのではないだろうかって。
そんな淡い期待ばかりが膨らむばかりだった。

そして季節は流れ七月中旬。
来週には待望の高校生活初めての夏休みが始まるというのに、私はずっとその夏休みが永遠にきて欲しくなかった。
だって夏休みが始まってしまったら、彼と会えなくなってしまうから――。

「これ、貸し出しよろしくね」

「……はい」

一学期最後の当番の日。
いつもと同じように彼は本を借りにきた。
そしていつものように私は、貸し出し手続きをしていく。

その間彼は、窓の外から見えるグラウンドを見つめているんだけど、なぜか今日ばかりは違った。
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