毒舌紳士に攻略されて
さっきからずっと感じる彼の視線。
ものすごく居心地が悪い。……いや、それよりも恥ずかしいと言った方が正しいのかもしれない。

居たたまれなくなり、手続きする手を止め彼を見上げれば、まさか私が顔を上げるとは思わなかったのか驚いた表情を見せた。

「あの……すごく視線が痛いんですけど」

同い年なのに、なぜか彼に対しては時々敬語が混じってしまう。
それがまた彼のツボなのか、可笑しそうにクスクスと笑い出した。

「ごめんね。さっきからずっとどうやって夏休み誘うか模索していたんだ」

「――え?」

誘う?夏休み??

ついまたポカンとしてしまうと、彼はますます可笑しそうに笑いを堪える。

「そう。……俺的には夏休みに入ったら会えなくなるの、すごく嫌なんだけど。……佐藤さんは違った?」

「……っ!」

なんてズルイ聞き方だろうか。
こんなにもドキドキさせておいて、私に言わせようとするなんて。
でも彼の言葉に間違いなどない。
私も嫌だから。夏休みの間、ずっと彼に会えないのは嫌――。
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