毒舌紳士に攻略されて
「そこで言われたの。……俺は全然本気じゃなかったからって」

その言葉を言われた瞬間、私の中で何かが崩れた音がした。
それはきっと沢山のもの。
彼に対する感情も、楽しかった日々も、他人を信用する気持ちも全て崩れてしまったんだ。

「茫然と立ち尽くす私に、彼と友達が言いたい放題でさ。……その中で言われたの。ずっとコンプレックスだったこの額のことも」

ゆっくりと手は額へと移動していく。

小さい頃からずっと気にはしていた。
人よりも額が広いことを――。
でも友達からは、「そこがめぐみのチャームポイントでもあるよね」なんて言われて、さほど気に留めていなかった。でも――……。

「おでこ広すぎて顔のバランス悪すぎだろって。……そう言われちゃった」

自分で言っておきながら胸がズキンと痛んでしまい、誤魔化すように笑ってみせるものの、琴美のことは騙せそうにないようだ。
だって琴美は今にも泣き出してしまいそうで、目を真っ赤にさせていたのだから。
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