毒舌紳士に攻略されて
それを知ってしまったのは、新学期が始まってからだった。
付き合っているんだし、一緒に図書室へ行こうと思った私は当番の日の放課後、彼の教室へと向かったんだ。
その時、彼が友達と話しているのを偶然聞いてしまった。

「聞いちゃったの、彼が友達と話しているのを。……賭けをしていたんだって。夏休みまでに私を落とせるかどうかを――……。見事に彼の勝利で友達からお金を受け取っていた」

「そんな……」

「もちろん最初は信じられなかったよ?だって全てが演技だったなんて思えなかったし。……でもね人って簡単に演技できるし、騙せるんだよ」

当時のことを思い出すと、乾いた笑いがでてしまう。

「あの時動揺しちゃっていて、盗み聞きしていたのを彼の友達に見つかっちゃったの。その時全てを暴露されてね、笑われた。……友達と一緒になって彼にも」

あの日の記憶はきっと一生忘れることができないと思う。
むわっとむせるような暑さも、甲高い笑い声も全て――。

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