毒舌紳士に攻略されて
以前は嫌なところとか、苦手なところばかりしか見えてこなかったのにな。
気持ちひとつでこんなにも見え方が違ってしまうんだ。

「……っとと!やばい、時間だ」

自分の世界へと半分いってしまっている間にも時間は流れており、気付けば一時十五分前。
きっと坂井君のことだから約束の十分前には来るはず。
今日ばかりは坂井君が来るより先に外で待っていなくちゃ。
でないと……。

「あら?出掛けるの?」

こっそりとブーツを履いていたというのに、気付かれたくない人に気付かれてしまった。
ギクッとなりながらも、振り返ることなく「ちょっと出かけてくる」と伝えると、勘がいいお母さんは意味ありげに「ふーん……」と言いながらも、リビングに戻る気配が感じられない。

「それにしても今日はまた一段と気合いが入っているじゃない?」

うっ……!さすがはお母さんだ。
普段のラフなファッションとは違い、今日の私はワンピースにトレンチコートといういかにも女の子らしいスタイル。
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