毒舌紳士に攻略されて
それはそれでイラッとしてしまう。でも今の状況下では、きっと坂井君が満足する答えを言わないと納得してくれないような気がしてならない。

「佐藤、早く答えろよ」

痺れを切らしたように急かすと、グッと距離を縮めてきたものだから変に身構えてしまった。

「嬉しくない!……わけじゃない」

「はぁ?なんだそれ」

咄嗟に出た言葉は、まるで天邪鬼のような可愛げのない言葉だった。
当然坂井君は納得いかないと言いたそうに、表情を歪める。

「それ、答えになってねぇんだけど」

「なっているじゃない!ちゃんと言ったし!」

また可愛げなくプイッと顔を窓側へ向ければ、坂井君は呆れたように大きな溜息を漏らした。

「ダメだ。腹減った」

そう言うと体制を整え、また車を走らせた。
その後は目的地に着くまでひたすら無言状態。
でも仕方ないじゃない。坂井君が望むようなことは言えないよ。
そもそも「会えて嬉しい」なんて言った時点で、私は坂井君が好きだと認めてしまっているようなものだ。
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