毒舌紳士に攻略されて
不意打ちの笑顔に視線は逸らせなくなる。

「そうやって言えばいいんだよ。ちゃんと自分の気持ちを言え。でないといつまで経っても引きずるし、後悔するだろ?」

涙を拭ってくれた手は、今度は優しく頭を撫でてくれる。

「逃げていたってなにも変わらねぇよ。それに数年経った今、あの男と会えたのは何か意味があるんじゃねぇの?俺はそう思う。佐藤を強くさせるために神様が会わせてくれたって」

「坂井君……」

ついさっきまでは神様なんていないと思っていた。
どうしてこのタイミングで再会させたの?って。

でも考え方を変えれば違うんだ。

「一緒に戻ろうぜ」

「……うん」

“一緒に戻ろう”

たった一言のなんてことのないこの言葉に、キュンときてしまった。

最初から坂井君はそのつもりだったんだよね?
過去の話を聞いて、探してくれたんでしょ?
わざと私に本音を言わせたんでしょ?
そう思っちゃうのは、自分にいいように解釈しすぎかな?

でも今だけはそう思っていてもいい?

もちろん坂井君本人に聞くことなど出来ず、隣を歩きながら何度も心の中で問いかけていた。

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