毒舌紳士に攻略されて
その姿を見た瞬間、高校時代の私が報われた気がした。
ずっと私だけが好きでいたのだと思っていた。石川君にとって友達とのゲームに利用されていたのだと。

「私ね、ずっと石川君にはただ利用されただけだと思っていたの。……でも違うんだよね?少しでも私のこと、好きでいてくれたんだよね?」

確認するように尋ねると、石川君はすぐさま顔を上げ「そうだよ」と答えてくれた。

「好きだったよ。……好きだった。だからずっと後悔していた」

悔しそうに唇を噛みしめる姿を見た瞬間、思わず涙が溢れそうになってしまった。

石川君にされたことは今でも許せない。
でも逃げてばかりいた私自身も、許せなかった。
坂井君の言う通り、もっと早く文句の一つや二つ、言えばよかった。
そうすればお互いこんなにも後悔して苦しまずに済んだのかもしれない。

「それを聞けただけでもう充分だよ。……もう充分」

「佐藤……」

逃げずに戻ってきてよかった。
こうやって石川君とちゃんと話をすることができて、本当に良かった。

「あのさ……それともう一ついい?」

「え?」
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