毒舌紳士に攻略されて
「そうだよ。絶対そう。……さて、自分の気持ちを認識したところで、どうするの?」

私の気持ちを後押しするように深く頷くと、次に琴美は頬杖をつき聞いてきた。

「坂井のことが好き。……じゃあめぐみはどうすればいいの?」

「どうすればって言われても……」

それが分からないから会社を休んでまで悩んでいた。
なのに琴美は、答えを求めてくる。

「分からないよ、そんなの。第一分かっていたら、こんなにも悩まないし」

そうだ。どうすればいいのか分かっているのなら、こうやってウジウジ悩んでなどいない。
正直に自分の気持ちを伝えたというのに、なぜか琴美はカップに残っていた珈琲を飲み干し、立ち上がった。

「じゃあ私、帰るから」

「えっ!?」

まさかここで琴美が帰ると言うとは夢にも思わず、つい立ち上がってしまった。
だけど冗談ではなく本気で帰るようで、コートを着始めた。

「ちょっ、ちょっと待ってよ。まだ相談に乗ってほしいんだけど……」

自分のことなのにどうしたらいいのか分からない。
もちろん答えを求めるつもりはない。だけど話だけでも聞いてほしかった。
こんな話をできるのは、琴美だけだから。
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