毒舌紳士に攻略されて
なのに琴美は帰り支度を進めるばかり。
そして鞄を手に持ち、ドアの方まで歩いていく。私はというとそんな琴美の後ろを、親鳥を追い掛ける小鳥のように追い掛けることしかできない。

すると琴美はドアの前で立ち止まると、堪えるようにクスクスと笑いながら振り返った。

「あのさめぐみ、相談もなにもしっかりとめぐみの中では答えが出ているんじゃないの?」

「――え?」

答えが出ている?そんなはずない。

「そんなわけないじゃない。出ないからこんなに悩んでいるんだよ?」

どこをどう見たらそう思うのだろうか?
それでも琴美は負けじと反論してきた。

「ううん、もう絶対出ているから。ただめぐみ自身が気付いていないだけ。……あとは自分の力でどうにかしなさい」

「そんな……」

気分は親に見捨てられた気分だ。
私にとって琴美は恋愛のエキスパート的存在だ。
だって遥かに私に比べて恋愛経験豊富だし、健太郎君という素敵な彼氏までいる。
そんな琴美だけが頼りだったのに。
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