毒舌紳士に攻略されて
恐る恐るながらも、ゆっくりと坂井君の背中に両腕を回した。
その瞬間、微かに坂井君の身体が反応するも、回した腕はそのまま――。

こうやって会って触れて、感じて。
そして嫌っていうほど実感させられてしまう。

「好き……」

坂井君が好き。大好き。

「――え?」

気持ちは溢れ出し、咄嗟に口から出てしまった。
案の定坂井君は驚いた声を上げ、ゆっくりと私の身体を離す。

だけどここで訂正などするはずない。
好きって気持ちに嘘はないから……。

私の言葉が信じられないと言いたそうに、目を丸くさせる坂井君に目を逸らすことなく自分の気持ちを伝える。

「坂井君が好き。……大好きなの」

信じてもらいたい一心で『好き』って伝える。
すると坂井君はさらに目を見開き驚く。

「嘘……だろ?だって佐藤、俺のこと大嫌いだって言ったじゃん」

口元を手で覆いながら目を逸らされてしまう。

「しかも俺、佐藤に酷いことした」

坂井君の言う通りだ。
酷いことをされたし、大嫌いとも言った。でも――……。
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