毒舌紳士に攻略されて
「それでも坂井君が好きなの。……どうしたらいい?」

こんなに好きって伝えているのに伝わらないもどかしさに、ちょっと意地悪な言い方をしてしまった。
でも聞きたい。私は坂井君が好き。
酷いことされても好きなの。……坂井君は私のこと、どう思っているの?

ちゃんと坂井君の口から本心が聞きたい。
至近距離のまま、坂井君の返事を待つ。

すると坂井君は今にも泣き出してしまいそうに表情を歪めた。

「逆に聞きてぇよ。……嘘じゃねぇんだよな?」

絞り出すように放たれた言葉に、胸が締め付けられ、気付いたら坂井君の胸の中に自ら飛び込んでいた。

「嘘じゃないよ。坂井君が好きなの」

「佐藤……」

信じて欲しい。
その一心でギュッと抱き着いていると、背中には震える手がゆっくりと回された。

「夢みたいだ」

夢ではないと私の存在を確認するように、坂井君の大きな手が背中や髪に触れる。
坂井君の手は大きくてあたたかくて、私の方こそ今が夢なんじゃないかと錯覚してしまう。
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