毒舌紳士に攻略されて
そして瞳が捕まれてしまったまま、坂井君の顔がゆっくりと近づいてくる。

このシチュエーション、想像するだけで恥ずかしくてドキドキして仕方なかった。
だけど付き合い初めて一ヵ月。準備ができたのかな?
今はただ、求めて仕方ない。

坂井君の動きに合わせるようにゆっくりと瞼を閉じようとした時。

「今日は口、塞がないの?」

今の雰囲気をぶち壊すような、意地悪な声が聞こえてきた。
そのまま坂井君を見れば、からかうように見ている。

からかわれている!そう分かってはいるものの、顔が熱くならないわけがない。
一気に熱くなっていく体温に、坂井君は声を押し殺すようにして笑っている。
それがまたなんとなく悔しくて、つい言ってしまった。

「ふっ、塞がないよ!……もう絶対塞がない」

「え……?」

予想外だったのか、坂井君は目を丸くさせて驚いている。
それもそのはずだ。だって言った本人でさえ、思わぬ大胆発言に驚いているのだから。
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