毒舌紳士に攻略されて
「こら、なんで溜息なんて吐いているんだよ。人がせっかくアドバイスしてやろうと思っているのに」

「……どうせまたテクニック教えてくれるだけだろ?」

「そんなわけないだろ!」

そう言うと親父は、なぜか身を屈め玄関先にいる母ちゃんに聞かれないよう、声を潜めて話してきた。

「さっき木苺の言ったことは正しいぞ。いいか?こればかりは二人の問題なんだ。お前の価値観や基準だけで考えない方がいい」

「いや、それよく意味が分からねぇんだけど」

二人して同じこと言われたって、言われた本人がその言葉の意味を理解できないのなら、なんの意味も持たない。
それに二人の問題もなにも、めぐみはいまだに身体を強張せているくらいだし。
話を聞く以前にその反応だけで分かるもんだろ?
めぐみはまだそれを望んでいないって。

「そのうち嫌でも分かる時がくるよ」

分からないと言っているのに、後は自分で考えろと言わんばかりに笑う親父にムッとしてしまう。
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