毒舌紳士に攻略されて
「ねぇねぇ!どうだった!?坂井君との幹事は!!」

「さすがのめぐみも惚れちゃったりしたでしょ?」

同期会が始まって二時間。
三時間の飲み放題コースを頼んでいたし、そろそろ同期会も折り返し地点に差し掛かると、呑んでいる仲間達はいい感じに出来上がってきた。
そうすると自然と話は恋愛のことやら、はたまた下ネタに走る場合もある。
今回はどうやら矛先が私にきたようだ。

でも気になって当たり前だよね。
だって正直、幹事のペアを決める際みんな誰もが坂井君とのペアを望んでいたわけだし。
そう思うと本当、私でごめんなさいって思う。

好奇心旺盛に、目をキラキラ輝かせる数名の仲間達を前に顔はつい引きつってしまう。

「残念ながら惚れたりなんてしないから。……知っているでしょ?私は坂井君に興味ないって」

琴美には苦手だと話しているものの、他の子にはただ興味がないとしか伝えていない。
変に言って勘違いされても嫌だし、“興味ない”が一番有効だと思ったから。

今日ばかりはアルコールを飲むわけにはいかず、気分だけでも味わおうと頼んだノンアルコールのカクテルを口に含み、興味ないことを再三伝える。

「一緒に幹事やったからって惚れたりしないよ。……でも、幹事の仕事はすごくよくやってくれていたよ」
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