毒舌紳士に攻略されて
そう言うと琴美は、少し気持ち悪いのが落ち着いたのか、ゆっくりと立ち上がった。

「それに再認識したいんだよね。健太郎はちゃんと私のことを好きでいてくれるって。それが迎えに来てくれたり、怒られたりするたびに実感できちゃうんだ」

「そういう……ものなの?」

はっきり言って琴美の言うことは、理解できない。
だって他にも気持ちを確かめる方法なんて、いくらでもある気がするんだけど。

つられるように立ち上がると、琴美はクシャッと笑った。

「そういうものなのよ!……もしかしたら、私限定の愛の確かめ方かもしれないけどね。さて、早速電話して迎えに来てもらおうかな。やっぱめぐみの言う通り飲み過ぎたわ」

やっぱり気持ち悪いのは収まっていなかったようで、顔を歪ませながらも電話をかけ始めた。

琴美とは入社以来の友人。
付き合いはまだまだ浅いけれど、それなりに琴美がどんな人間なのかを理解しているつもりだった。
でもまだ全部は理解できていないのかもしれない。
恋愛が絡むと特に。

それは私には琴美のように豊富な恋愛経験がないからかも。

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