毒舌紳士に攻略されて
「その……抱きしめられました」

「えぇっ！？うっそ！何！？その急展開は！！」

案の定、琴美の興奮は増したようだ。
目をキラキラさせている。

「それでめぐみはなんて返事を返したの！？」

「いや、返事って……」

昨日の出来事を思い出すとどうしても変に動揺してしまい、自分自身を落ち着かせようと紅茶に口をつける。

「返事もなにも、まず信じられなくない？」

「まぁ……それもそう、か」

当たり前な話だ。
いきなり言われたって信じられるわけなどない。

琴美の興奮状態も消息してきたらしく、力が抜けたように座り込んだ。

昨夜、プロポーズまがいなことを言われ抱きしめられ、最初は胸が苦しくて言葉が出てこなかった。
だけど人間とは恐ろしいもので、ある一定の時間が経てば慣れてしまう。
そしてだんだんと状況を理解出来てきて、ゆっくりと坂井君の身体を押し退けると特に抵抗されることもなく、あっさりと身体は解放された。

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