毒舌紳士に攻略されて
だけど離れられたのはいいものの、言動力がついてきてくれなかった。
ひたすらどうしたらいいのか分からず状態の中、坂井君はこう言ったんだ。
「日曜十一時からデートだから」って――。

「えっ……まさかそのデートって明日だったりするの？」

「……そのまさかなんだよね」

つい溜息が漏れてしまう。

そうなのだ。
坂井君が指定してきたのは、まさに明日。

さっきまで騒いでいた琴美でさえ、この急展開には呆気にとられている。

「それに私、なにも返事していないんだよ？なのにいきなりデートとか言われても、困るし」

彼氏にどう？とか、嫁になれ！とか……。
はっきり言って極端すぎるし、なにより信じられない。
普通は告白があるものだよね？
まぁ……実際に告白されたとしても、困るけど。

「うーん……でも坂井との付き合いなんてまだまだ短いけどさ、アイツは冗談とかでそういうこと言う人には見えないけど？」

「いや、それはそうかもしれないけど……でも私だよ！？やっぱないよ」
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