毒舌紳士に攻略されて
舌打ちされたって構わない。坂井君の部屋でふたりっきりなんて……考えただけで恐ろしい。
リビングを見ないように早速手伝うべく腕まくりをしていると、坂井君は「寝てくる」と言って、リビングから出て行ってしまった。
「あら、照れちゃっているのかな?」
「アハハ……」
乾いた笑いしか出てこない。
お母さんから見たら私は照れていると思われているのかもしれないけど、それは百パーセントあり得ない話。
それはきっと坂井君も分かっているから、怒らせてしまったんだと思う。
でも今は怒ったままでもいいや。
坂井君と部屋でふたりっきりになるよりも、お母さんとこうやって料理の準備をしていた方が緊張する度合いが違うし。
手を洗い、「じゃあレタスをお願い」と言われ渡されたレタスを洗いながらも、お母さんをチラチラと見てしまう。
それに坂井君のお母さんは不思議と苦手っていう印象がない。
「あの子、ちゃんと優しい?」
「――え?」
突然話し掛けられすぐに言葉を返せないでいると、お母さんは手を休め心配そうに聞いてきた。
リビングを見ないように早速手伝うべく腕まくりをしていると、坂井君は「寝てくる」と言って、リビングから出て行ってしまった。
「あら、照れちゃっているのかな?」
「アハハ……」
乾いた笑いしか出てこない。
お母さんから見たら私は照れていると思われているのかもしれないけど、それは百パーセントあり得ない話。
それはきっと坂井君も分かっているから、怒らせてしまったんだと思う。
でも今は怒ったままでもいいや。
坂井君と部屋でふたりっきりになるよりも、お母さんとこうやって料理の準備をしていた方が緊張する度合いが違うし。
手を洗い、「じゃあレタスをお願い」と言われ渡されたレタスを洗いながらも、お母さんをチラチラと見てしまう。
それに坂井君のお母さんは不思議と苦手っていう印象がない。
「あの子、ちゃんと優しい?」
「――え?」
突然話し掛けられすぐに言葉を返せないでいると、お母さんは手を休め心配そうに聞いてきた。