愛を教えてくれた君に

ーKaiziー


加藤は急に泣き始めた。

俺は少しずつ加藤の瞳の奥が寂しい理由が

わかった気がした。

加藤が人を頼れないのは頼りかたを知らないから。

甘え方を知らないからだ。

「大丈夫か?」

「う…うん。ごめんね。」

加藤は寂しそうに笑った。

「無理して笑うなよ。
    もう寝ろよ?。」

加藤の腕を掴んで立たせた。

マジで細過ぎだろ。

加藤の部屋は印象通りの部屋だった。

女の子らしいのに落ち着いた感じ。

そして少し寂しい部屋。

写真の一枚もない。

ベットに座らせ布団をかけて、

俺は帰ろうすると、何かが俺をつかんだ。

加藤が少しだけ服の裾を掴んでいた。

「あ…ごめん。今日はありがとう。」

すっと裾を離して、また無理して笑った。

「ちょっとココにいてやるよ。安心しろ。」

あいつは目を丸くして俺を見て、少し微笑んだ。

少し嬉しそうな顔をしていた。

なんでこんなに優しくしてんだ…?

加藤が寝たら帰る予定だった。

なのになぜか俺も落ち着いてしまった。

気づいたら朝だった。

やべ…。

加藤はまだ寝てた。

起こさないようにデコに手を当てた。

まだ熱いな。

とりあえず一回帰ろう。

確か玄関に鍵あったよな?。

学校行く前にもう一回来よう。

「あら、おかえり」

「おう」

「あの子、大丈夫そう?」

「まだ熱かった。」

「あの子、親は?」

「まだ聞いてないけど、一緒に生活してる気配はない。」

「そっか。あ…昨日里菜ちゃんから
 何度もケータイに電話来なかった?」

里菜のこと忘れてた…。

「なんで?。てか、ケータイ家に置きっぱ。」

「家電にかかって来たのよ。
 奏多くんと遊んでることになってるけど。」

多分奏多にも電話してんだろうな。

奏多、上手くやってくれてるかな。

部屋に入りケータイ見ると、

着歴30件。LINEは100件を超えていた。

奏多からも来ていた。

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上手くやっといた。

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ならよかった。

里菜からのLINEに既読をつけるか迷ったが

付けるしかないよな。

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海司ただいま~



あれ?今日バイトだっけ?



約束忘れたの?



海司どこいるの?

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似たような内容が並んでいた。

おれがストレスで死ぬよ。

俺は悪いとだけ書いて画面を閉じた。

はぁ~俺なにやってんだか。

シャワー浴びて学校の準備をしよう。。
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