イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 私じゃ……瑠海を不幸にする。

 声を殺して泣いていると、頬に温かいものが触れた。

 それは、瑠海の指で……。

「何で……泣いてるの?」

 瑠海の目がゆっくり開いて私を見つめる。

 眼差しはまだ夢の中をさ迷っているかのようだけど、でもすごく優しくて……ついすがりそうになった。

「だ、大丈夫です。……目にゴミが入っただけ」

 私が笑って見せると、瑠海は安心したのか目を閉じて再び夢の中へ……。

 きっと、瑠海が私を見るのはこれが最後。

 私がこうして彼を見るのも……。

「瑠海……好き」

 最初で最後の告白。

 瑠海の頬に手を触れて、彼の唇に口づけると涙が溢れ落ちた。
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