最低王子と恋の渦
色々店を回ること1時間。
大きな本屋に向かおうとしていたその時だった。
「…あ、三鷹?」
そんな声が聞こえて、私達はそちらに振り向く。
と、
そこにいたのは佐々木くんと竹内さんだった。
「…あぁ、佐々木か」
「えっ、王子!?」
三鷹くんがそう返事をすると、竹内さんは驚いたように三鷹くんを見上げた。
そして私をチラリと見る。
私は先程二人を見つけて咄嗟にほんの少し三鷹くんの後ろに隠れてしまっていた。
佐々木将大(ササキマサヒロ)。
和久井くんと同じく5組の芸系。
…彼は、私が夏休み前に告白をしたあの彼である。
見事にキッパリ断られたあの儚い恋の相手である。
未だに気まずいと感じてしまう私はまだ未練が残っているのだろうか。
…というか、こんな日に竹内さんと仲良く二人で歩いてるってことは…、
佐々木くん、竹内さんと付き合ってるのか。
ますます気まずいわ。
「え、え?…もしかして王子と田中さんって…」
竹内さんは戸惑いながら、そしてなんだか楽しそうに私と三鷹くんを交互に見た。
こんな日に二人で歩いてるのは私達も同じだったわ。