最低王子と恋の渦
「どこ行くの田中さん」
三鷹くんは私を見上げる。
私はあははと笑いながら手を振ってみせた。
「ちょっとお手洗い借ります」
「ああ、ならそこ出て右ね」
「はーい」
ドラマを視聴する三人を残して私はそそくさとトイレへ向かった。
リビングを出ると、綺麗にされた廊下があって右の向かい側にトイレらしきドアが見える。
廊下の途中では壁に写真などが飾られていて、私は何気なくその一枚に目を止めた。
…お母さんかな?
小学生くらいの三鷹くんと、お父さんとお母さんの三人で写ったその写真。
とても仲の良さそうな家族に見えた。
…ていうか三鷹くん可愛い。
ちっちゃい三鷹くんすごく可愛い。
って、私トイレに行くんだった。
目的を思い出した私はそのままトイレに向かった。