最低王子と恋の渦
「美乃ちゃんも一緒に絵本読も~!」
珠妃ちゃんはそう言いながら立ち上がり、グイグイと私を友也の座る所へと引っ張った。
ストンとその場に座ると、珠妃ちゃんは絵本を一冊持って私の隣に座り込む。
「今日はこの絵本ね!」
「ん、了解」
そうして私はゆっくりと、気持ちを込めて絵本を読み出した。
珠妃ちゃんはなぜか、私が絵本を読んでくれるのが好きみたいで。
珠妃ちゃんがもっと小さい頃から読んでたから、落ち着くのかな?
私は珠妃ちゃんの可愛い夢を応援してあげたい。
だから私はその為なら何度だって珠妃ちゃんに絵本を読む。
絵本を読みながらチラリと友也を見ると、彼は安心したような笑顔を浮かべて私達を見ていた。
“それって田中さんのこと好きってこと?”
三鷹くんの言葉が頭に響く。
ずっと前って…友也はいつから私のこと好きなんだろう。
幼稚園の頃からずっと一緒だった友也。
……今更、そういう風に見れるのだろうか。