最低王子と恋の渦




「わ、和久井くんなんかテンション低くない?」



「…え?」






私が心配に思って尋ねると、和久井くんはきょとんとする。

もしかして熱でもある?と思った私は和久井の顔を覗き込んだ。







「!」



「…ん?あ、やっぱ熱あるんじゃない?」



「えっ、な、なんで?」



「顔なんか赤いよ」







私がそう言うと、和久井くんはぎょっとして更に顔を真っ赤にさせた。



…!?

な、何事!?







「ね、熱!かも!」



「…保健室行って来たら?」



「そ、そうする!」






そして和久井くんは体調が悪いとは思えないスピードで去って行ってしまった。


私と菜々はその姿を呆然と見送る。







「…和久井くん大丈夫かな」



「……」



「…?菜々?」



「……これは面白くなりそうな予感」



「は?」






ニヤニヤと気持ち悪く笑う菜々を横目に、私は首を傾げた。





< 317 / 347 >

この作品をシェア

pagetop