最低王子と恋の渦
ガチャ。
「…え」
扉を開けて固まる私。
目の前に立つその人を見つめて、私は必死に状況を理解しようとする。
な、なんで…
「なんで三鷹くんがいるの…?」
「こんにちは糞低脳」
今日一発目の罵倒である。
三鷹くんは手に持っているビニール袋をひょいと掲げた。
「澤村さんに代わってお見舞いに来たんだよ」
「お、お見舞い…!?」
きっかけはなんにしろ、あの三鷹くんが私のお見舞いに来てくれるなんて…。
優しい。
優し過ぎる。
「…あ、まあとりあえず上がってって?」
「お邪魔します」
いつも通りの三鷹くんを見て、なんだか落ち着いている自分がいる事に気付いた。
…やっぱり、三鷹くんの見方を変えてみて良かったかも。