続♡プリンセス☆ロード
「どうして、私を元の世界に戻したの?殺すことをせず、そうしたのはなぜ?」
「…それが、一番こいつを苦しめるって思ったからだよ!」
「違うわ!そうじゃない。…お母さんでしょう?」
私がそう言うと、仁は言葉を失う。
「ずっと、元の世界に戻りたいって言ってたって言ってたでしょう?その願いを、かなえてあげたかった…。違う?お母さんを帰してあげることはできなかったけど、せめてお母さんの形見のこの指輪だけでも…」
ポケットから取り出した指輪。
どうして、私が部屋にしまっているネックレスじゃなくて、自分が持ってるお母さんの形見である指輪を使ったのか。
「ただ私を帰すだけなら、大事な指輪を手放すはずがない。いつだって強引なことをしてきたあなただもん。ネックレスを奪うのだって簡単だったはず。でも、しなかった」
「…黙れ」
「それは、私を元の世界に戻すことが目的じゃなかったから。この指輪をお母さんの生まれ故郷である地球に戻してあげたかったから…違う?」
「黙れ!」
きっと、私の記憶があれば、それを使ってこの世界に戻ってくる。
それは仁にとっては無意味なことになってしまう。
だから、私の記憶を消す必要があった。
この世界の事を忘れて、もう戻ってこないように。
「お母さんが、大好きだったから…。今までの事も、お母さんのための復讐だったんだから復讐をしている間は、忘れられた?寂しいこと…」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!」
「それで、あなたの心は満たされたの?」
「俺は、俺のしたいようにする!お前らをずっと、恨み続ける!それが、俺の真実だ!」
仁は叫ぶと、そのまま姿を消してしまった。
この指輪…返しそびれてしまった。
きっと、苦しんでるんだ。
誰かにぶつけることで寂しさを紛らわせて。
寂しいんだよね。