シンデレラは硝子の靴を
それ以外は、何もない、がらんとした殺風景な部屋だった。
―なんだ、金持ちだからもっとじゃらんじゃらんしてるのかと思ってた。
沙耶は拍子抜けしたような気持ちで、ゆっくりと大きなベットに近づく。
床暖房なのか、下から暖気が上がってきて温かい。
10m程歩いた所で。
ベットの端に辿り着く。
その、真ん中に奴は居た。
ベットに乗らなければ、完全に手は届かない。
―こんな顔、してたっけ。
沙耶は端から、仰向けになって寝ている石垣の横顔を見つめた。
出逢った時は嘘くさい上に気持ちの悪い笑顔を貼り付けていた。
それ以降は大体眉間に皺が寄っている石垣しか沙耶は知らないが。
今目の前で無防備に眠る彼は、そのどちらでもない。
と。
携帯の着信だろうか。
自分のものではない電子音が響く。
「…うるせぇ…」
直後に呟かれた、これまた自分のものではない声に、沙耶は固まった。
瞬間。
ヒュッ、ゴッ、ガン!!!
枕元に置いてあったらしい、『何か』が。
目を瞑ったままの石垣の手から飛び出したと思ったら、沙耶の目の前で勢い良く壁にぶつかって、砕けて散った。
しかも沙耶の髪を掠っていった。
―たぶん、、スマホ、よね?
沙耶は砕け散った破片から、また眠りに入った石垣へと視線を移した。