シンデレラは硝子の靴を
ちょうど、石垣が階段を下り切った所で。



「おはようございます!」



整列したメイド、執事が彼に向かって挨拶した。




「―お前は?」




石垣はそんな執事達には目もくれず、沙耶に視線を投げかけてくる。





「は?」




いつの間にか眉間に皺が寄っていたらしい沙耶が、さらに眉を潜めると、石垣はにやりと笑った。




「お前から、朝の挨拶はねぇの?秘書だろ?」



「あるわけないでしょ、そんなもん。」



何言ってんの?と呆れ顔をして睨むと、石垣が沙耶の耳に口を近づけ囁く。



「おいおい、そんなんじゃ、あいつらに示しがつかないだろ?秘書はあいつらの後に俺に挨拶すんのが日課になってんだよ。」



聞きながら、メイド達を見ると、成程、彼女達は何かを待っているような気がする。




「…チッ、はよ。」




石垣を押しのけ、耳を叩きながら、渋々沙耶が呟けば、それが合図だったかのようにメイド達からの「いってらっしゃいませ!!!」の声が響いた。



「お前なぁ…」




石垣が呆れたように天を仰いで、何か言いかけたが。




「急がないと、仕事に遅れます。」




沙耶は身を翻して、開かれた扉に向かった。


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