シンデレラは硝子の靴を
「なんだよ、坂月から教えてもらわなかったのかよ?」




驚いた沙耶が振り返ると、石垣は頬杖を付いたまま、眉間に皺を寄せて、こちらを見ている。



―坂月ぃ!!



沙耶は心の中で、坂月を呪うが、時既に遅し。




「俺時間ないから、いつもスケジュールの確認は車内でやってるんだけど。」




石垣の呆れ声に続き、車が停まる。



「まぁ、いいわ。とりあえず、今日は自分で確認する。明日からはちゃんとやれよ。」




運転手がドアを開け、石垣が車を降りるので、沙耶もそれに続いた。




―なんだ、もっとどつかれるかと思ったけど、意外にあっさりなんだ。つーか、自分で出来るなら、自分で確認しろよ!




最早、自分の職業の存在意義自体に疑問を呈しながら、石垣に続き、いつかの超高層ビルの入り口に入ろうと足を速める―



「ぶっ!?」




が。



いつかも来た、警備員が両端に立つゲート前で、突然石垣が立ち止まるので、沙耶はその背中に顔面を強打した。





「!いったぁー!ちょっと!!突然とまんないでよ!」




思わず悪態を吐く沙耶に、石垣はにっこりと笑って振り返る。




「!!!」


―気持ち悪っ!!!!怖っ!!!!



キラキラした石垣に、沙耶は仰け反った。


全身に鳥肌が立っている。




「秋元さん。私ね、朝食がまだなんだ。」



表情と同様、先程までとは打って変わった石垣の口調に、沙耶の警戒心がマックスになる。
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