シンデレラは硝子の靴を
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―くっそぉ。



苦手なブランド街を、肩で息しながら走りつつ、沙耶は唇を噛み締めていた。




煌くこの街を疾走する人間は、そう居ない。



しかもこんな午前中から。



―こんなことになるんだったら、あいつが投げた瞬間のスマホを奪い取っておけば良かった。



スマホを一度持つと、何を調べるのにもとても便利だから手放せないと、あゆみから聞いたことがある。


そんな魔法が使えたなら、どれだけ楽だったろうか。



沙耶が今使える方法は聞き込みしかない。




のだが。



中々どうして、生粋の地元人が少ないようで。



道行く人は、ここらを知らない人間ばかりなのだ。





「コンビニ入ったら、わかるかな。」




無数の人々が行き交う中で、邪魔にならないよう沙耶は道の端に寄って、作戦を練る。



しかしその肝心なコンビニが、見当たらない。


先程の自分の記憶力が正しいかも怪しい。



―にしたって。





―あの馬鹿男、何考えてんだ。







おかしいとは思っていた。

知らなかったとはいえ、スケジュールについてのお咎めがなかったから。


絶対嫌がらせだ。








最後の石垣の真っ黒な笑顔が脳裏に張り付いて胸やけがする。



ついでに言うなら、石垣の注文したものが、本当に食べ物なのかどうかも怪しい所だ。

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