シンデレラは硝子の靴を

「なんじゃこりゃ…」



開けてみて思わず呆れが零れ落ちた。



あゆみから受け取った最短ルートなるものは、成程確かに最短なのだろう。


しかし、ボンヌ・ボヌールは隣の隣の隣の駅。


アウトゥンノは隣の隣の駅。


ブリーズが隣の駅。


コクスィネルコリーヌが、沙耶が今居る場所から一番近くにある。




なんとも、上手く考えたというかなんというか。




「しかも、ほぼパン屋かよ…」





コクスィネルコリーヌを除いて三つが、パン屋。

コクスィネルコリーヌだけはカフェ、というか珈琲専門店らしい。


本当にものの5分でここまでまとめあげたあゆみには脱帽するが。




「パンなら一つの店で済ませろよ!」




石垣への沙耶の怒りのボルテージは増すばかり。



我慢できずに叫べば、道行くマダムが、驚いてこちらを振り返る。



けれど、仕方ない。


雨足も強まってきた。



沙耶はとりあえず、一番遠い所から攻めていくことに決めて、ヒールなどお構いなしに、駅まで走った。





石垣の悪知恵というか、なんというか。



意地悪さもここまで極めると、天才と言えなくもない。
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