シンデレラは硝子の靴を
「そーいやさぁ…」




口をもごもご動かしながら、駿が思い出したように沙耶を振り返る。




「単発のバイト、どうだったの?何か、結構早く帰って来たよね?」



「どうもこうもなかったよ。普通。」




沙耶も菜箸を止めることなく答えた。




「ふーん。ミュアンホテル、どうだった?やっぱりすごかった?」



「うん、綺麗だったよ。」



「パーティは?有名人とか、居た?」




「うん、居た。」



「金持ちばっかりだよなぁ。いいなぁ。お近づきになりてーなぁ。」




「やめなよ」




駿の脳内花畑な発言に、思わず強い口調になってしまう。




「なんでよ、いいじゃん。なんか、お金とかくれそうじゃん。いっぱい奢ってくれるだろうし。」



それに気付かない駿は、へらへらと笑った。




「金持ちなんて、ロクでもない人間ばっかよ。あんた叔母さん達の事、忘れたの?」




そこまで言われて、駿はやっと、この会話が姉にとってタブーだったということを思い出す。






「……冗談だよ。」





駿はそれだけ言って、味噌汁を啜った。


< 16 / 416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop